実家をどうするか。
この問題は、ある日突然やってきます。
親が施設に入ることになった。急に体調を崩した。
そのとき初めて、誰も住まなくなる家と向き合うことになります。
費用の目安をお伝えすると、解体まで含めると80万〜400万円以上かかります。
ただ、実家じまいでいちばん大変なのは、お金ではないかもしれません。
「実家じまい 寂しい」という言葉が、毎月200回以上検索されています。
この記事では、費用と手順に加えて、その気持ちの部分にも触れます。
私自身、実家の片付けを帰省のたびに進めている当事者です。
- 実家じまいの費用(ケース別)
- 進め方の手順6ステップ
- 放置するとどうなるか
- やってはいけない失敗
- 寂しさとの向き合い方
実家じまいとは

実家じまいとは、誰も住まなくなった実家を片付けて、売却・解体・活用のいずれかで整理することです。
きっかけになるのは、だいたい次のような場面です。
- 親が高齢者施設に入居した
- 親が亡くなり、家が空いた
- 親を自分の家に呼び寄せた
- 自分が実家に戻る予定がない
ここで大事なのは、親が元気なうちに始めたほうが、ずっと楽だということです。
本人に「これは残したい」「これは捨てていい」を聞けるからです。
親が亡くなったあとでは、すべて自分たちで判断することになります。
これが、想像以上に重い作業です。
実家じまいの費用はいくら?
実家をどうするかで、費用は大きく変わります。
3つのケースに分けて見てみましょう。
| ケース | 総額の目安 | 主な費用 |
|---|---|---|
| 片付けて賃貸に出す | 20万〜100万円 | 家財整理・清掃・リフォーム |
| 古家付き土地として売る | 50万〜200万円 | 家財整理・仲介手数料 |
| 解体して更地にする | 80万〜400万円以上 | 家財整理・解体・登記 |
いちばん高くなるのが、解体です。
坪単価の目安は、建物の構造で変わります。
| 構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合 |
|---|---|---|
| 木造 | 3万〜5万円 | 90万〜150万円 |
| 鉄骨造 | 4万〜6万円 | 120万〜180万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 6万〜8万円 | 180万〜240万円 |
これに加えて、道が狭くて重機が入らない場合は割高になります。
実家が古い住宅地にある方は、その点も見ておいてください。
費用を抑える5つの方法
数百万円という金額に、驚かれたかもしれません。
抑えられる部分はあります。
1. 自治体の補助金を調べる
空き家の解体には、補助金を出している自治体があります。
金額は自治体によって違いますが、数十万円が補助されることもあります。
ただし、条件があるのが普通です。
- 一定期間以上、空き家であること
- 老朽化の度合いが基準を満たすこと
- 着工前に申請すること
- 予算枠に達すると受付終了
とくに3つ目が重要です。
工事を始めてから申請しても、受けられません。
「実家がある市区町村名+空き家+解体+補助金」で検索するか、役所に問い合わせてください。
2. 自分でできる片付けは自分でやる
家財整理は、業者に頼むと数十万円かかります。
先に自分で減らしておけば、その分だけ安くなります。
私も帰省のたびに、少しずつ運び出しています。
一度に終わらせようとすると心が折れるので、一部屋ずつ、一段ずつのペースです。
片付けの進め方は、遺品整理の費用相場の記事でも解説しています。
3. 売れる物は買取に出す
実家には、意外と値のつく物が眠っています。
- 着物・帯
- 骨董品・掛け軸・茶道具
- 時計・貴金属
- 古いカメラ・楽器
親世代の家には、こうした物が押し入れの奥に残っていることがあります。
捨てる前に、一度見てもらう価値はあります。
買取については、生前整理・買取カテゴリで詳しく解説していきます。
4. 複数の業者から見積もりを取る
解体も片付けも、業者によって金額が変わります。
同じ工事で数十万円の差が出ることもあります。
最低3社から見積もりを取ってください。
その際、見積書に内訳が書かれているかを必ず確認します。
「一式」だけの見積書は、あとから追加請求が来ることがあります。
5. 古家付きのまま売る選択も考える
解体してから売るのが当然、と思われがちですが、そうとは限りません。
建物を残したまま「古家付き土地」として売る方法もあります。
この場合、解体費用は買い主が負担することになります。
その分だけ売却価格は下がりますが、手元からお金を出さずにすみます。
どちらが得かは、土地の条件によります。不動産会社に両方の見立てを聞いてみてください。
実家じまいの手順6ステップ
何から手をつければいいのか。順番に見ていきます。
全体では、半年から1年以上かかることも珍しくありません。
1. 家族で話し合う
ここを飛ばすと、必ずあとでもめます。
兄弟姉妹がいるなら、全員に声をかけてください。
「あの家は自分にとっても実家だった」
そう思っている人が、ほかにもいるかもしれません。
親が存命なら、親の意向がいちばん優先されます。
勝手に進めないこと。これが最初の鉄則です。
2. 実家の状態を確認する
実家がどういう状態なのか、事実を集めます。
- 名義は誰になっているか
- 建物の築年数と構造
- 土地の広さと道路との接し方
- 住宅ローンが残っていないか
名義が親のままだと、売却の前に手続きが必要になります。
相続登記や名義変更は法律の手続きなので、司法書士に相談してください。
当サイトでは、法律の判断には踏み込みません。
3. 売る・貸す・解体するを決める
実家をどうするか、方針を決めます。
| 選択肢 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| そのまま売る | 建物がまだ使える | 買い手が限られる |
| 解体して売る | 建物が古く需要がない | 解体費が先に出ていく |
| 賃貸に出す | 立地がよく需要がある | 修繕費と管理の手間 |
| 土地を活用する | 広さと立地の条件が合う | 初期投資が必要 |
迷ったときは、不動産会社に相談すると相場感が分かります。
土地の条件によっては、駐車場や賃貸経営など活用の道もあります。
複数の会社から提案を受けて比べると、判断しやすくなります。
4. 家財を片付ける
いちばん時間がかかる作業です。
先に探しておきたい物があります。
- 通帳・印鑑・保険証券
- 権利証・登記関係の書類
- 写真・アルバム・手紙
- 仏壇・位牌・神棚
仏壇や神棚は、そのまま処分せず、閉眼供養(魂抜き)をしてから引き取ってもらうのが一般的です。
お寺に相談するか、供養に対応している業者に頼めます。
5. 不動産の手続きを進める
方針が決まったら、実際の手続きに入ります。
解体する場合は、解体後に「建物滅失登記」という手続きが必要です。
売却する場合は、不動産会社と媒介契約を結びます。
税金の特例が使えることもありますが、条件が細かいので税理士に確認してください。
6. 各種契約を解約する
最後に、実家に紐づいた契約を止めます。
- 電気・ガス・水道
- 電話・インターネット・NHK
- 新聞・定期購入
- 火災保険(解約返戻金がある場合も)
解体工事の日程が決まってから、水道と電気の停止時期を業者と相談してください。
工事で使うことがあるためです。
実家を放置するとどうなる?
「決められないから、とりあえずそのまま」
気持ちは分かります。
でも、放置には具体的なリスクがあります。
とくに知っておいてほしいのが、税金の話です。
2023年12月に法律が変わりました。
これまでは、著しく傷んだ「特定空き家」だけが対象でした。
今は、その手前の「管理不全空き家」も、土地の固定資産税が最大6倍になる対象になっています。
建物が建っている土地は、通常なら固定資産税が6分の1に軽減されています。
この軽減が外れる、という意味です。
行政から勧告を受けた翌年から、税額が変わります。
税金以外にも、次のようなリスクがあります。
- 老朽化が進み、解体費用が上がる
- 草木が伸びて近隣に迷惑がかかる
- 建物の一部が落下して損害賠償になることも
- 買い手がつきにくくなる
- 子や孫の代に問題が持ち越される
急いで決める必要はありません。
ただ、時間が経つほど選択肢は減っていきます。
実家じまいでやってはいけない失敗
先に知っておけば避けられる失敗を、5つ挙げます。
- 家族に相談せず進めてしまう
- 大事な書類を確認せずに処分する
- 補助金を調べる前に工事を始める
- 1社だけの見積もりで決める
- 親の気持ちを無視して急かす
とくに気をつけたいのが、5つ目です。
「そろそろ考えないと」と急かすような言い方をすると、親の表情が曇ってしまうことがあります。
子どもにとっては「片付けるべき家」でも、親にとっては人生を過ごした家です。
その差を忘れると、話が進まなくなります。
切り出し方のコツは、終活のやることリストにも書いています。
実家じまいが寂しいと感じるとき
ここまで費用と手順の話をしてきました。
でも、実家じまいでいちばんこたえるのは、気持ちの部分かもしれません。
実際、「実家じまい 寂しい」という検索は毎月200回以上あります。
それだけ、同じ思いをしている人がいるということです。
柱に残った子どものころの傷や、壁の落書きを見つけて、手が止まることもあります。
この家がなくなるということは、あの傷もなくなるということなんだな、と。
その気持ちに、正解の対処法はないと思います。
ただ、やっておいてよかったと感じたことはあります。
- 家の中と外を、写真に撮っておく
- 思い出の品を、ひとつだけ手元に残す
- 家族で最後に集まって、思い出を話す
- 近所の方に挨拶をしておく
とくに写真は、あとから見返せます。
玄関、台所、庭。何気ない場所ほど、撮っておく価値があります。
建物はなくなっても、記憶は残ります。
寂しいと感じるのは、それだけ大切な場所だったということです。
無理に割り切らなくていいと思います。
実家じまいに関するよくある質問
実家じまいを考えるときに、よく出てくる疑問をまとめました。
実家じまいの費用はいくらですか?
片付けだけなら20万〜100万円、解体まで行うと80万〜400万円以上が目安です。
建物の構造や広さ、立地で大きく変わります。
費用は誰が払うのですか?
実家の名義人が負担するのが基本です。
相続後であれば、相続人で分担することが多くあります。
もめないよう、作業前に話し合っておいてください。
お金がない場合はどうすれば?
解体せず、古家付き土地として売る方法があります。
売却代金から費用を支払える場合もあるため、まず不動産会社に相談してください。
自治体の補助金も、あわせて確認しましょう。
仏壇はどうすればいいですか?
閉眼供養をしてから処分するのが一般的です。
お寺に相談するか、供養に対応した遺品整理業者に依頼できます。
どのくらい期間がかかりますか?
半年から1年以上かかることが多いです。
家族の話し合いと片付けに、いちばん時間がかかります。
まとめ
実家じまいは、費用も時間もかかる大きな作業です。
- 費用は片付けのみ20万〜、解体込みで80万〜400万円以上
- 補助金は着工前に申請する
- 見積もりは3社以上から取る
- 放置すると固定資産税が最大6倍になることも
- 何より先に、家族で話し合う
我が家も、まだ結論は出ていません。
親は元気ですし、実家をどうするかは、これから話していくことになります。
それでも、帰省のたびに一部屋ずつ片付けています。
いつかその日が来たとき、慌てずにすむように。
今日できることから、少しずつでいいと思います。

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