実家に帰るたび、モノが増えている。
何度か片付けようとして、そのたびに揉めて、疲れて帰ってくる。
そういう状態でこのページを開かれたのだと思います。
この記事では、効率的な片付け方も、親を説得するコツも書きません。
それを読んで解決しなかったから、いまここにいるのだと思うからです。
先にお伝えしたいことが3つあります。
ひとつ、片付けが進まないのは、あなたの段取りが悪いからではありません。
ふたつ、実家の片付けは、終わりません。
みっつ、全部やらなくても、意味のある部分だけ取り出せます。
その3つを順番に説明します。
- 進まないのは量の問題ではない
- なぜ自分ばかりがやることになるのか
- 目標を「終わらせる」から変える
- どこから手をつけるか
- やめどきの決め方
片付けが進まないのは、量の問題ではない
まず、ここを整理します。
親が生きている、という違い
遺品整理と実家の片付けは、まったく違う作業です。
遺品整理は、こちらの判断で全部捨てられます。
つらい作業ですが、手は止まっても、進みます。
一方、親が健在なら、そうはいきません。
ひとつ捨てるたびに、持ち主の許可が要ります。
「これ、まだ使う?」と聞いて、「使う」と言われたら終わりです。
明らかに10年使っていない鍋でも、親が「使う」と言えば残ります。
作業ではなく交渉だから疲れる
だから、実家の片付けは作業ではありません。
交渉です。
しかも相手は、こちらが子どもの頃から見ている親です。
対等な交渉になりません。
3時間かけて段ボール1箱分しか進まなかった、ということが普通に起きます。
体力ではなく、気力が削られます。
「うんざり」という言葉で検索する方が月に590人いるのは、そういうことだと思います。
片付けても、また増える
もうひとつ、認めておいたほうがいいことがあります。
片付けたそばから、また増えます。
通販のカタログ、新聞、もらいもの、まとめ買いした日用品。
半年後に帰ると、片付けた場所に別のモノが積まれています。
これは親が悪いのではなく、生活しているからです。
人が住んでいる家は、片付いた状態では止まりません。
「終わらせる」を目標にしている限り、この事実に何度もぶつかります。
なぜ自分ばかりがやることになるのか
ここは、あまり書かれていない部分です。
動く人は、なぜか決まる
きょうだいがいても、実際に動くのはひとりということがよくあります。
近くに住んでいる人。
親と話しやすい人。
言い出した人。
そして一度動き始めると、そのまま担当になります。
「気づいた人がやる」が続くと、気づかない人はずっと気づきません。
これを不公平だと感じるのは、正しい感覚です。
我慢する必要はありません。
進捗を写真で共有する、費用が出たら見積書を回す。
言わなくても伝わることは、ありません。
一人っ子の場合
分担する相手がいません。
代わりに、揉める相手もいません。
だから、自分で線を引かないと、際限がなくなります。
「自分がやるしかない」と思うほど、やめどきが分からなくなります。
一人っ子で片付けを担う方が月に140人検索しているのは、その難しさの表れだと思います。
配偶者や、いとこ、親の兄弟に「今こうなっている」と話しておくだけでも違います。
判断を委ねるためではなく、抱えている状態を誰かが知っているという意味で。
嫁の立場でやっている場合
義理の親の家を片付けている方もいます。
この場合、難しさがひとつ増えます。
捨てる判断の重みが違うのです。
実の子が捨てれば「まあ仕方ない」で済むものが、嫁が捨てると角が立つことがあります。
そのため、次のように分けるほうが安全です。
- 仕分けや判断は、実の子(配偶者)に任せる
- こちらは掃除や運搬など、判断のいらない作業を引き受ける
判断を代行しないでください。
引き受けても、感謝より不満が返ってくる構図になりやすい部分です。
目標を「終わらせる」から変える
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
きれいにするのは目標にしない
実家をモデルルームのようにする必要はありません。
親が快適に暮らせているなら、モノが多いこと自体は問題ではないからです。
「片付いていない」ことに困っているのは、多くの場合こちら側です。
そう認めると、少し肩の力が抜けます。
そのうえで、量に関係なく片付けたほうがいい部分があります。
転ばない家にする
消費者庁は、高齢者の事故について注意を呼びかけています。
転倒・転落、誤嚥等の不慮の窒息、不慮の溺死及び溺水は、交通事故より死亡者数が多い3大事故とされています。
そして、家庭内で転倒・転落を防ぐ対策として、次のことが挙げられています。
- 床に新聞紙やチラシを置かない
- カーペットの端は留めておく
- 動線上に電源コードを引かない
- 階段や廊下に手すりを付ける
- 足元ランプを付ける
- 段差解消のスロープを付ける
ここで気づいてほしいことがあります。
上の3つは、親と交渉しなくてもできます。
床の新聞紙を片付けるのは「捨てる」話ではありません。
めくれたカーペットを留めるのも、延長コードを壁沿いに寄せるのも、捨てる判断が要らない作業です。
だから揉めません。
そして、押し入れの中身を10年分整理するより、家の中で起きることへの効き目は大きいと思います。
在り処が分かる状態にする
もうひとつだけ、量に関係なくやっておきたいことがあります。
大事なものの在り処を、親に聞いて記録しておくことです。
- 通帳と印鑑
- 保険証券
- 不動産の権利証
- 年金手帳
- お墓や菩提寺の連絡先
これは片付けではなく、確認です。
捨てる話が一切出ないので、親も答えてくれます。
いざというときに探し回らずに済み、結果として将来の片付けが軽くなります。
書き留めておく道具としては、エンディングノートは何を書く?にまとめた無料のものでも足ります。
どこから手をつけるか
順番を変えるだけで、進み方が変わります。
自分のものから
意外に見落とされていますが、実家には自分の荷物が残っています。
昔の教科書、卒業アルバム、部活の道具、服。
「実家 片付け 自分の部屋」で検索する方がいるのは、そこが手つかずだからです。
これは許可が要りません。
自分のものなので、一日で終わります。
そして、これをやると親の態度が変わることがあります。
「片付けろ」と言うだけの人ではなくなるからです。
誰のものでもないものから
次に手をつけるのは、持ち主がはっきりしないものです。
- 古い新聞、雑誌、チラシ
- 期限切れの食品
- 壊れた家電
- 空き箱、紙袋
「これ捨てていい?」ではなく「これは捨てるね」と言えるものから進めます。
聞くと止まります。
聞かずに済むものを先に減らすと、部屋の見た目が変わり、次に進みやすくなります。
親のものは最後
衣類、食器、本、思い出の品。
ここが本丸ですが、最後です。
そして、全部やらなくて構いません。
このとき効くのは、量ではなく期限の話です。
「危ないから」ではなく「◯月に手すりを付けるから、その前に廊下だけ空けたい」と伝えると、話が具体的になります。
「片付けよう」は伝わりませんが、「この日までにここだけ」は伝わります。
売れるものは分けておく
捨てる前に、分けておいたほうがいいものがあります。
着物は、値段がつくものとつかないものの差がはっきりしています。
理由と売る前にできることは着物買取でがっかりしないためにに書きました。
掛け軸や壺、茶道具は、入っていた箱を捨てるかどうかで査定額が変わります。
片付け中に真っ先に捨てられるのが、その箱です。
詳しくは骨董品買取は箱がすべてをご覧ください。
なお、親が健在なら、売るかどうかを決めるのは親です。
勝手に持ち出さないでください。
やめどきの決め方
最後に、降りる話をします。
時間で区切る
「終わるまでやる」と決めると、終わりません。
代わりに、こう決めてください。
- 1回の帰省で作業は3時間まで
- 1回につき1か所だけ
残りの時間は、片付けずに親と過ごしてください。
片付けに来る人になると、帰省そのものが重くなります。
親のほうも身構えるようになり、かえって進まなくなります。
線を引いて外に出す
自分でやる範囲と、人に頼む範囲を分けます。
判断は自分にしかできませんが、運ぶことと捨てることは代わってもらえます。
- 大きな家具や家電だけ頼む
- 物置や納戸など、思い出のない場所だけ頼む
- 運び出しだけ頼んで、仕分けは自分でやる
親が健在の場合でも、生前整理として対応してもらえます。
複数の業者にまとめて見積もりを依頼できるサービスもあります。
ぽいみつは、生前整理や不用品の回収に対応した業者へ、一度の入力で見積もりを依頼できるサービスです。運営は株式会社ロイドで、会員登録は不要、見積もりまでは無料です。
申し込むと、対応できる業者から電話がかかってきます。
契約は紹介された業者と直接結ぶ形になるので、金額と作業範囲は必ず書面で確認してください。
遺品整理の見積もりを無料でまとめて依頼する(ぽいみつ)そして、親に無断で業者を呼ばないでください。
当日になって揉めると、そのあとの片付けが何年も止まります。
親が拒むならやめていい
強く拒まれたときは、引いて構いません。
片付けは、親の意思に反してまでやることではないからです。
このとき、こちらにできることは2つだけ残ります。
- 転倒につながる部分(床のもの、コード、カーペット)は直しておく
- 大事なものの在り処だけ聞いておく
この2つは、片付けを拒む親でも受け入れてくれることが多い部分です。
そして、あとは待って構いません。
いつか、親のほうから言い出すことがあります。
言い出さなければ、そのときが来てから遺品整理を自分でやるか決める前にを読んでください。
先送りは、失敗ではありません。
実家の片付けについてよくある質問
親が「まだ使う」と言って捨てさせてくれません
その場合は、捨てる交渉をやめてください。
床に置かれたものを棚に戻す、通路を空けるといった、捨てずにできることだけに切り替えます。
安全の面では、それでかなり改善します。
きょうだいが手伝ってくれません
進捗と費用を共有してください。
言わずにいると、やっていること自体が伝わりません。
分担を求めるときは「手伝って」ではなく、「◯月◯日にこの作業をするので来られるか」と日時を指定するほうが動いてもらいやすくなります。
どのくらい時間がかかりますか
親が健在で交渉が必要な場合、年単位になることが珍しくありません。
一方、転倒対策と在り処の確認だけなら、1日で終わります。
全部を目標にするか、そこだけにするかで、必要な時間はまったく変わります。
業者に頼むといくらくらいですか
家の広さと物量で変わります。
親が健在なら、家一軒ではなく部屋単位や品目単位で頼むほうが現実的です。
費用の目安は遺品整理の費用相場は?にまとめた金額が参考になります。
家そのものをどうするかも考えるべきですか
親が住んでいるうちは、急ぐ必要はありません。
ただ、いずれ空き家になる見込みがあるなら、早めに知っておいたほうがよいことはあります。
実家じまいの費用と手順にまとめました。
まとめ
うんざりしているなら、目標のほうを変えてください。
- 進まないのは段取りの問題ではなく、親が健在だから
- 実家の片付けは作業ではなく交渉。だから消耗する
- 片付けても、また増える。終わらないのが普通
- きれいにするのは目標にしない
- 代わりに転ばない家にする。床のもの、コード、カーペットの端
- この3つは親と交渉しなくてもできる
- 大事なものの在り処を聞いて記録しておく
- 順番は、自分のもの → 誰のものでもないもの → 親のもの
- 1回3時間、1か所までで区切る
- 親が拒むならやめていい
今日できることをひとつ挙げるなら、次の帰省で、床に置かれているものだけを片付けることです。
捨てなくて構いません。
床から上げるだけで、家はかなり安全になります。

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