生前整理は何のためにやるのか|親にすすめる前に知っておきたいこと

「生前整理」という言葉を、親にすすめようとして手が止まった。

あるいは、自分でも始めたほうがいいのか迷っている。

生前整理は、片付けの一種ではありません。

やることは片付けと同じでも、目的が違います。

そして、この違いを飛ばして「片付けよう」と持ちかけると、まず通りません。

この記事では、何のためにやるのかというところから整理します。

先にお伝えすると、生前整理でいちばん価値があるのは、モノを減らすことではありません。

  • 生前整理とは何か
  • モノより先にやること
  • いつから始めるか
  • 親にすすめるとき
  • 自分でやるときの順番
目次

生前整理とは何か

まず、言葉の整理です。

遺品整理・老前整理との違い

似た言葉が並んでいて、混乱しやすいところです。

言葉誰がやるかいつ
生前整理本人元気なうち
老前整理本人老いる前(50〜60代)
遺品整理遺族亡くなったあと
実家の片付け子ども親が健在なうち

生前整理と実家の片付けは、やる人が違います。

生前整理は本人がやるもので、子どもが主導するものではありません。

ここを取り違えると、「勝手に捨てられる」という受け取られ方をします。

目的は「残された人が困らないこと」

生前整理の目的は、家をきれいにすることではありません。

自分がいなくなったあと、家族が困らないようにすることです。

家族が実際に困るのは、モノの量ではありません。

  • どの銀行に口座があるか分からない
  • 保険に入っていたかどうか分からない
  • お墓や菩提寺の連絡先が分からない
  • サブスクの請求が止められない

これらは、モノを1つも捨てなくても解決できます。

減らすことが目的ではない

「生前整理=断捨離」と受け取られがちですが、少し違います。

モノを減らすのは手段のひとつであって、目的ではありません。

大量のモノがあっても、在り処が分かっていれば家族は動けます。

逆に、部屋がきれいでも通帳の場所が誰も知らなければ、遺族は探すところから始まります。

「捨てる話」から入るから、親が身構えるのです。

モノより先にやること

順番を変えると、話が進みます。

情報を1枚にまとめる

生前整理で最初にやるのは、これです。

紙1枚で足ります。

  • 取引のある銀行(口座番号は書かない)
  • 加入している保険会社
  • 年金の受給先
  • お墓の場所、菩提寺の名前と連絡先
  • 加入している互助会や共済

金額は書かなくて構いません。

「どこにあるか」が分かれば、家族は動けます。

暗証番号やパスワードは書かないでください。

紙が人の目に触れたときに危険なためです。

書き留める道具としては、無料のエンディングノートで足ります。

法務省と日本司法書士会連合会が公開しているものもあります。

選び方はエンディングノートは何を書く?にまとめました。

毎月の支払いを洗い出す

これが、家族がいちばん困る部分です。

通帳の引き落としと、クレジットカードの明細を1年分見てください。

そこに、忘れている契約が出てきます。

  • 使っていない有料放送
  • スマホのオプション
  • 新聞、雑誌の定期購読
  • 使っていないジムや会員サービス

契約者が亡くなっても、解約しない限り請求は続きます。

事業者には、亡くなったことを知る手段がないためです。

生きているうちに整理すれば、家計も軽くなります。

デジタルの入口を確保する

スマートフォンが開けないと、家族は何も調べられません。

国民生活センターの資料には、携帯電話会社の店舗で「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われた事例が載っています。

パスワードは、家族が必要なときに分かる形にしておいてください。

同センターは「名刺大の紙にパスワードを書き、修正テープで隠しておく」という方法を紹介しています。

詳しくは遺品整理を自分でやるか決める前にに書きました。

いつから始めるか

時期の話です。

決まった年齢はない

何歳から、という決まりはありません。

ただ、判断ができるうちにやるものである点は変わりません。

体調を崩してからでは、本人の意思を確認できなくなることがあります。

元気なうちは「まだ早い」と感じますが、その時期にしかできません。

年代ごとの考え方は終活は何歳から始める?にまとめています。

きっかけになる出来事

自然に始められる場面があります。

  • 定年退職したとき
  • 引っ越しやリフォームをするとき
  • 配偶者や友人を見送ったとき
  • 大きな病気をしたとき
  • 孫が生まれたとき

何かの節目に重ねると、始めやすくなります。

「終活だから」ではなく「引っ越すから」であれば、抵抗も小さくなります。

親にすすめるとき

ここが、いちばん難しい部分です。

本人がやるものだと伝える

生前整理は、本人がやるものです。

子どもが手を出すと、「自分の持ち物を勝手に処分される」という話になります。

すすめるときは、主導権が本人にあることを明確にしてください。

  • 捨てるものを決めるのは本人
  • 子どもは、聞き取りと記録を手伝う
  • 残す・残さないの判断には口を出さない

手伝うのは「作業」であって「判断」ではありません。

「片付け」から入らない

最初に「片付けよう」と言うと、そこで止まります。

代わりに、情報の話から入ってください。

「保険ってどこに入ってるんだっけ」

「お墓の管理料って、どこから引き落とされてるの」

これは片付けの話ではないので、身構えられません。

そして、聞けている内容は生前整理そのものです。

切り出し方は親に終活の話をどう切り出すかにまとめました。

実際に片付けの段階に入ったときは、実家の片付けにうんざりしたらが参考になります。

自分でやるときの順番

自分自身の生前整理を始める場合です。

情報 → 契約 → モノ

順番はこれです。

  • 情報:口座、保険、お墓、連絡先を1枚にまとめる
  • 契約:使っていないサブスクや会員サービスを解約する
  • モノ:それから、片付けに入る

モノから始めると、途中で疲れて情報にたどり着きません。

そして情報のほうが、家族にとっての価値は大きいところです。

売れるものは先に分ける

捨てる前に、値段がつくものを分けておきます。

着物は、値段がつくものとつかないものの差がはっきりしています。

理由は着物買取でがっかりしないためにに書きました。

掛け軸や壺は、入っていた箱を捨てると査定額が変わります。

詳しくは骨董品買取は箱がすべてをご覧ください。

自分で判断できるうちに売るほうが、納得のいく形になります。

遺族が処分すると、価値が分からないまま捨てられます。

人に見られたくないもの

これは、あまり書かれていない部分です。

日記、手紙、写真、趣味のもの。

見られたくないものを自分の手で処分できるのは、いまだけです。

遺品整理では、家族が全部を開けることになります。

「これは見られたくなかっただろうな」と思いながら、遺族が処分している場面は実際にあります。

残すものを選ぶより、こちらを先に片づけるほうが気が楽になるという方もいます。

生前整理についてよくある質問

生前整理と断捨離は同じですか

違います。

断捨離はモノを減らすことが目的ですが、生前整理は残された家族が困らないようにすることが目的です。

モノを減らさなくても、情報を整理すれば目的は果たせます。

何から始めればいいですか

情報を1枚にまとめることからです。

口座のある銀行、保険会社、お墓と菩提寺の連絡先。

金額や暗証番号は書かないでください。

親が嫌がります

「片付け」から入らず、情報の話から入ってみてください。

「保険ってどこに入ってるんだっけ」であれば、片付けの話になりません。

業者に頼めますか

家財の処分は頼めます。

ただし、何を残すかの判断は本人にしかできません。

判断は自分で、運搬と処分は外に出す、という分け方が現実的です。

生前整理をしないとどうなりますか

家族が、探すところから始めることになります。

とくに困るのは、口座と保険と契約です。

モノの量より、情報が分からないことのほうが負担になります。

まとめ

生前整理は、片付けではありません。

  • 目的は残された人が困らないこと
  • モノを減らすことが目的ではない
  • 順番は情報 → 契約 → モノ
  • 最初にやるのは、口座・保険・お墓を紙1枚にまとめること
  • 金額と暗証番号は書かない
  • 毎月の支払いを1年分洗い出す
  • 契約は解約しない限り請求が続く
  • スマホのパスワードは家族が分かる形に
  • 生前整理は本人がやるもの。子どもは判断に口を出さない
  • 親にすすめるときは「片付け」から入らない

今日できることをひとつ挙げるなら、通帳の引き落としを1年分見てみることです。

忘れている契約が、たいてい1つは出てきます。

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この記事を書いた人

終活むすこのアバター 終活むすこ 親の終活に奮闘する40代後半

「おや終活」運営者。40代後半の会社員。親の終活が「ひとごと」でなくなった世代として、墓じまい・遺品整理・実家じまいについて、自分で調べて動いた記録を発信しています。相続や税金など専門判断が必要なことは扱わず、専門家への相談をご案内する方針です。

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