墓じまいをすると決めたあと、次に立ちはだかるのが手続きです。
役所に行くらしい、書類がいるらしい。
そこまでは分かっても、何から手をつければいいのかが見えてきません。
先にお伝えすると、墓じまいの手続きでいちばんつまずくのは、必要な書類3点の入手先が、3か所バラバラだからです。
役所、今のお墓の管理者、新しい納骨先。
それぞれに頼んで回る必要があり、しかも順番を間違えると出してもらえない書類があります。
この記事では、書類の入手先と役所での進め方を、順番の理由まで含めて整理しました。
平日に役所へ行けない方向けの方法や、代行に頼む選択肢もお話しします。
- 墓じまいの手続きの全体の流れ
- 必要な書類3点と、それぞれの入手先
- 役所での申請方法と郵送対応
- 順番を間違えるとやり直しになる点
- 手続き代行という選択肢
なお、費用の内訳については墓じまいの費用はいくら?で詳しくまとめています。
墓じまいの手続きは何から始める?全体の流れ
まず、全体像から見ていきます。
墓じまいの手続きは、次の7つのステップで進みます。
- 家族・親族に相談して同意を得る
- 今のお墓の管理者(お寺・霊園)に伝える
- 新しい納骨先を決めて契約する
- 石材店を決めて見積もりを取る
- 役所で改葬許可証を受け取る
- 閉眼供養をしてご遺骨を取り出す
- 墓石を撤去し、新しい納骨先へ納める
全体でかかる期間は、2か月から半年ほどが目安です。
手続きそのものより、1番目の親族への相談と、3番目の納骨先選びに時間がかかります。
役所の手続きは5番目に出てきます。
ここが大事な点で、役所は最初ではなく、納骨先が決まったあとです。
理由は次の章でお話しします。
墓じまいの手続きで必要な書類3点
ご遺骨を別の場所へ移すには、役所が発行する「改葬許可証」という書類が必要です。
この改葬許可証をもらうために、次の3点をそろえます。
| 書類 | どこでもらうか | 入手の目安 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 今のお墓がある市区町村の役所 | 窓口またはホームページ |
| 埋葬証明書 | 今のお墓の管理者(お寺・霊園) | 依頼してから数日〜 |
| 受入証明書 | 新しい納骨先(霊園・寺院) | 契約後に発行 |
この表を見て、多くの方が「面倒だ」と感じると思います。
3枚の紙をもらうために、3か所に別々に頼まなければいけないからです。
ひとつずつ見ていきます。
改葬許可申請書(役所でもらう)
改葬許可証を申請するための用紙です。
今のお墓がある市区町村の役所で受け取ります。
担当する部署は自治体によって違い、環境衛生課、市民生活課などの名前になっています。
多くの自治体では、ホームページから用紙をダウンロードできます。
「お墓がある市区町村名+改葬許可申請書」で検索すると、たいてい見つかります。
記入する内容は、亡くなった方の氏名や本籍、埋葬した年月日、移す先などです。
古いお墓だと、埋葬年月日が分からないことがあります。
その場合は「不詳」と書いて受け付けてもらえることが多いので、まず役所に相談してみてください。
埋葬証明書(今のお墓でもらう)
「このお墓に、確かにこの方のご遺骨が納められています」と証明する書類です。
今のお墓を管理している人に発行してもらいます。
- お寺の墓地なら、住職に依頼する
- 公営墓地なら、管理事務所に依頼する
- 民間霊園なら、運営会社に依頼する
ここが、手続きの中でいちばん気を使う場面かもしれません。
お寺の場合、この依頼が「墓じまいをします」と伝えることそのものになるからです。
書類だけを事務的に求めるのではなく、これまでお世話になったお礼を先に伝える。
それだけで、その後の話がずいぶん進めやすくなります。
お寺との関係や離檀料については、墓じまいの費用の記事で詳しく触れています。
受入証明書(新しい納骨先でもらう)
「取り出したご遺骨を、うちで受け入れます」と証明する書類です。
永代供養墓、樹木葬、納骨堂など、新しい納骨先を契約すると発行してもらえます。
ここに、順番の落とし穴があります。
納骨先が決まっていないと、この書類は出ません。
つまり、役所に行く前に納骨先を決めておく必要がある、ということです。
先ほど「役所は5番目」とお伝えしたのは、この理由からでした。
なお、手元供養や散骨を選ぶ場合は、受入証明書の扱いが自治体によって変わります。
その予定がある方は、早めに役所へ確認しておいてください。
納骨先を選ぶときの注意点は、永代供養で後悔しないためににまとめています。
役所での手続きの進め方
書類3点がそろったら、役所に提出します。
ここでよくある疑問をまとめました。
どこの役所に出すのか
提出先は、今のお墓がある市区町村の役所です。
自分が住んでいる場所の役所ではありません。
ここを間違える方が多いので、気をつけてください。
実家のお墓が遠方にある場合、この一点だけで負担がぐっと変わります。
私も実家のお墓が離れた場所にあるので、まずここを確認しました。
手数料と発行までの日数
ここは安心していただける部分です。
改葬許可証の手数料は、多くの自治体で無料です。
有料の自治体でも、1通あたり数百円から1,000円ほどにおさまります。
発行までの日数は、およそ3日が目安です。
窓口によっては、その場で受け取れることもあります。
平日に行けないときは郵送申請
役所の窓口は、平日の日中しか開いていません。
会社勤めをしていると、ここが大きな壁になります。
ただ、多くの自治体が郵送での申請を受け付けています。
送るものは、次のとおりです。
- 記入した改葬許可申請書
- 埋葬証明書と受入証明書(原本)
- 切手を貼った返信用封筒(宛名を書いておく)
遠方のお墓なら、郵送のほうが交通費も時間も抑えられます。
ただし、対応の可否や送り先は自治体によって違います。
送る前に、ホームページか電話で一度確認しておくと安心です。
ご遺骨の数だけ申請が必要なことがある
見落としやすいのが、この点です。
改葬許可証は、ご遺骨1体につき1通必要になることが多くあります。
先祖代々のお墓だと、中に複数のご遺骨が納められています。
その場合、人数分の申請書を書くことになります。
お墓を開けてみたら、聞いていたより多くのご遺骨が入っていた。
これは実際によくある話だそうです。
何体納められているかは、埋葬証明書を頼むときに管理者へ確認しておいてください。
順番を間違えるとやり直しになる3つのポイント
墓じまいの手続きは、進める順番が決まっています。
ここを飛ばすと、やり直しになったり、あとで大きくもめたりします。
親族への相談を後回しにしない
いちばん最初に済ませておきたいのが、家族と親族への相談です。
手続きが進んでから「聞いていない」と言われると、そこまでの準備をすべて止めることになります。
お墓は、その家に関わる人みんなのものです。
兄弟姉妹、そのお墓に入っている方のご家族にも、早い段階で声をかけてください。
親が元気なら、親の意向がいちばん優先されます。
切り出し方のコツは、終活のやることリストでも書いています。
納骨先を決める前に役所へ行かない
先ほどお伝えしたとおり、受入証明書は納骨先を契約しないと出ません。
書類がそろわないまま役所へ行っても、手続きは進みません。
遠方の役所まで足を運んでから気づくと、その一日が無駄になります。
納骨先の契約を先に済ませる。
この順番だけは守ってください。
許可証が出る前に工事を始めない
改葬許可証が交付される前に、墓石の撤去やご遺骨の取り出しを始めてはいけません。
ご遺骨を勝手に動かすことは、法律で認められていないためです。
石材店との日程調整は進めておいて構いません。
ただ、実際の作業は許可証が手元に届いてからです。
石材店を選ぶときは、複数社から見積もりを取って比べてください。
同じ工事でも、業者によって数十万円の差が出ることがあります。
実家が遠方だと、石材店を自分で探して回るのは負担になります。
一括見積もりのサービスなら、一度の入力で複数社から金額を取り寄せられます。
全国の優良石材店から一括見積りが無料で出来る【墓石ナビ】書類をそろえている期間は待ち時間になるので、その間に見積もりを進めておくと全体が早く終わります。
手続きを代行してもらう選択肢
ここまで読んで、自分でやるのは大変だと感じた方もいると思います。
手続きを代わりに進めてもらう方法もあります。
| 方法 | 費用の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 自分で進める | 実費のみ(数百円〜) | お墓が近い、平日に動ける |
| 行政書士に頼む | 1万〜5万円 | お墓が遠方、書類が不安 |
| 石材店の代行を使う | 業者により幅がある | 工事とまとめて任せたい |
ひとつ知っておいてほしいことがあります。
書類の作成と申請の代行ができるのは、行政書士だけです。
石材店などが行うのは、書類を届ける「提出のお手伝い」にあたります。
どこまでやってもらえるのかは、依頼する前に確認しておいてください。
費用をかけてでも代行を頼む価値があるのは、お墓が遠方にある場合です。
往復の交通費と、仕事を休む負担を考えると、数万円が高くない場面もあります。
墓じまいの手続きに関するよくある質問
墓じまいの手続きを進めるときに、よく出てくる疑問をまとめました。
手続きにどのくらい期間がかかりますか?
全体で2か月から半年ほどが目安です。
役所の手続き自体は数日で終わります。
時間がかかるのは、親族との相談と納骨先選びです。
改葬許可証がないとどうなりますか?
ご遺骨を移すことができません。
新しい納骨先も、許可証がないとご遺骨を受け入れられません。
納骨のときに提出する書類なので、大切に保管しておいてください。
お寺が埋葬証明書を出してくれない場合は?
まずは、これまでのお礼を伝えたうえで、事情を正直に話してみてください。
感情的な行き違いが原因になっていることもあります。
話し合いで解決しない場合は、ひとりで抱えず、弁護士や自治体の相談窓口に相談してください。
当サイトでは、法律の判断には踏み込みません。
手続きは誰の名前で行いますか?
基本は、お墓の使用者として登録されている方の名義で進めます。
名義人が亡くなっている場合は、先に名義変更が必要になることがあります。
手続きを始める前に、名義が誰になっているかを確認しておきましょう。
散骨や手元供養でも手続きは必要ですか?
お墓からご遺骨を取り出す時点で、改葬の手続きが必要になります。
ただ、受入証明書をどう扱うかは自治体によって対応が分かれます。
散骨や手元供養を考えている場合は、早めに役所へ相談してください。
まとめ
墓じまいの手続きは、書類3点をそろえて改葬許可証をもらうことが中心です。
- 必要な書類は改葬許可申請書・埋葬証明書・受入証明書の3点
- 提出先は今のお墓がある市区町村の役所
- 手数料は多くの自治体で無料、発行まで3日ほど
- 平日に行けないときは郵送申請が使える
- 納骨先を決めてから役所へ行く
- 許可証が届くまで工事は始めない
手続きと聞くと身構えてしまいますが、順番さえ分かれば、ひとつずつ進められます。
私も、はじめは書類の名前を見ただけで気が重くなりました。
それでも、どこで何をもらうかが分かってからは、やることがはっきりしました。
まずは、新しい納骨先をどうするか。
そこが決まれば、書類は自然とそろっていきます。
費用の目安については、墓じまいの費用はいくら?もあわせてご覧ください。

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