実家の片付けをしていると、床の間の掛け軸や、桐箱に入った壺が出てきます。
古そうではあるけれど、価値があるのかは分かりません。
捨てるのも忍びないし、かといって全部取っておくわけにもいかない。
そこで、最初にひとつだけお伝えしておきます。
骨董品が入っていた箱と、一緒にあった紙は捨てないでください。
片付けをしていると、中身より先に箱を捨ててしまいがちです。
ところが骨董品の世界では、この箱が価値を大きく左右します。
茶道具では、箱があるかないかで査定額が1.5倍から3倍変わることもあるそうです。
この記事では、価値を見分ける目安と、どこに頼めばいいのかを整理しました。
- 捨ててはいけない付属品
- 価値がありそうな骨董品の見分け方
- どこに頼むかで査定額が変わる理由
- 贋作や押し買いへの注意
共箱と鑑定書が価値を左右する

まず、いちばん大事な話からいきます。
共箱とは何か
共箱(ともばこ)とは、作品を作った本人や、その家族・工房が書いた桐箱のことです。
箱の表面や蓋の裏に、作品名と作者の署名、落款(らっかん)と呼ばれる印が記されています。
つまり、その品が本物であることを、作者自身が証明しているということです。
骨董品は、見た目だけでは誰が作ったのか分かりません。
だから、箱に書かれた文字が手がかりになります。
査定額が何倍も変わることがある
共箱があると、買い手は安心して購入できます。
そのぶん業者も再販しやすくなるので、査定額に反映されます。
茶道具では、共箱があることで査定額が1.5倍から3倍になるケースもあるそうです。
専門機関が発行した鑑定書があれば、さらに評価が上がります。
逆に言えば、箱を捨ててしまうと、本物でもそれを示す手段がなくなります。
着物の証紙と同じ構造ですが、骨董品のほうが金額の落差は大きくなります。
捨ててはいけないもの一覧
品物の周りにあるものは、いったん全部残しておいてください。
- 桐箱・木箱(とくに文字が書かれているもの)
- 鑑定書・保証書
- 購入時の領収書や明細
- 包んである布や紐
- 作品に添えられた栞や説明書き
紙切れや古い木箱に見えても、判断は査定のときで構いません。
先に捨ててしまうと、取り返しがつかないからです。
ひとつ注意点があります。
箱や品物を自分で洗ったり磨いたりしないでください。
汚れに見えるものが、時代を示す風合いであることがあります。
そのままの状態で見てもらうほうが安全です。
価値がありそうな骨董品の見分け方
すべてを残しておくわけにもいかないので、目安をお伝えします。
ただ、先にお断りしておきます。
素人が真贋を見分けることはできません。
ここで挙げるのは、査定に出す価値があるかどうかを判断するための目安です。
作られた時代
古いものほど、残っている数が少なくなります。
目安として、明治時代より前に作られたものは、希少性が高くなる可能性があります。
ただ、年代を正確に判断するのは簡単ではありません。
掛け軸なら、描かれた画風や作者名から見当がつくことがあります。
作者名が分かれば、その人の生きた時代から年代をたどれます。
箱書きと落款
先ほどお伝えした共箱の話と重なります。
上質な桐箱に丁寧に収められている品は、大切に扱われてきた可能性が高くなります。
箱の蓋裏に作品名や署名、制作年代が墨で書かれていれば、そこが手がかりです。
品物そのものにも、作者のサインや落款が入っていることがあります。
読めなくて構いません。あることが分かれば十分です。
保存の状態
欠けやひび、大きなシミがあると、査定額は下がります。
掛け軸なら、しみや虫食い、折れ跡が出ていないかを見ます。
ただ、状態が悪くても値段がつかないと決まったわけではありません。
作者や時代によっては、多少の傷みがあっても評価されることがあります。
自分で判断して捨てる前に、一度見てもらってください。
まとまって残っているか
これは見落とされやすい点です。
茶道具は、単体では価値が分かりにくいことがあります。
ところが、茶道具一式や掛け軸、花入、書道具などと一緒に残っていると、持ち主がどういう趣味の人だったのかが見えてきます。
その来歴が、評価につながることがあります。
ばらばらに処分せず、まとめて見てもらうほうがいいのは、こうした理由からです。
どこに頼むかで査定額が変わる
骨董品は、持ち込む先によって金額が大きく変わります。
理由は、見ているところが違うからです。
| 比べる点 | リサイクルショップ | 骨董の専門店 |
|---|---|---|
| 査定の基準 | 再販価値・状態・需要 | 作家・窯元・時代・箱書・来歴 |
| 相場の見方 | 店頭で売れる価格 | オークション相場・流派の需要 |
| 真贋の判断 | 難しい | 専門の目で鑑定できる |
| 向いている品 | 家具・家電・日用品 | 掛け軸・茶道具・陶磁器・刀剣 |
リサイクルショップは、家電や衣類と同じ棚で骨董品を扱います。
骨董を見分ける査定員がいることは多くありません。
一方、専門店は陶磁器なら産地や窯元、刀剣なら刃紋や銘を読む知識を持っています。
同じ品でも、値段がつかない店と数万円になる店があります。
不用品をまとめて処分するついでに骨董品も一緒に、というのは避けたほうが無難です。
骨董品だけは分けて、専門のところへ出してください。
そのうえで、できれば2社以上に見てもらうと納得できます。
専門店といっても、得意な分野がそれぞれ違うからです。
ほかの品目の買取については、生前整理・買取カテゴリでも解説しています。
骨董品買取で気をつけたいこと
金額の話とは別に、知っておいてほしいことが3つあります。
贋作が多い分野だと知っておく
骨董品には、昔から偽物が出回っています。
有名な作家のものほど、その傾向があります。
箱に立派な署名が書かれていても、それが本物とはかぎりません。
「これは価値があるはずだ」と思い込むと、査定額に納得できなくなります。
期待しすぎず、専門家の判断を聞く。
そのくらいの構えでいるほうが、結果的に落ち着いて進められます。
押し買いに注意する
「骨董品を買い取ります」と電話や訪問で持ちかけ、家に上がり込む業者がいます。
骨董品のつもりで呼んだのに、貴金属まで出すよう求められた。
そうした相談が、消費生活センターに寄せられています。
覚えておいてほしいのは、次の2点です。
- 訪問購入は、書面を受け取った日から8日以内ならクーリングオフできる
- その期間内は、品物の引き渡しを拒める
その場で持って行かれそうになっても、渡さなくて構いません。
実家に高齢の親がいる場合は、この話を先に伝えておいてください。
困ったときは、消費者ホットライン188に相談できます。
押し買いの詳しい対処は、着物買取でがっかりしないためにでも書いています。
家族に確認してから売る
骨董品は、家族の中で思い入れが分かれやすい品です。
親が大切にしていたもの、祖父が集めていたもの。
自分には価値が分からなくても、兄弟には違って見えることがあります。
売ってしまってから「あれは残したかった」と言われると、戻せません。
写真を撮って共有してから決めると、あとの話が楽になります。
なお、相続に関わる財産の扱いは、法律や税金の判断が必要になる場面があります。
当サイトでは踏み込みません。必要な場合は弁護士や税理士に相談してください。
骨董品買取に関するよくある質問
骨董品を手放すときに、よく出てくる疑問をまとめました。
箱がない骨董品でも売れますか?
売れます。
ただし、箱がある場合と比べると査定額は下がります。
もう捨ててしまった場合でも、品物だけで見てもらう価値はあります。
査定は無料ですか?
無料で対応している業者が多くあります。
出張査定や宅配査定も、費用がかからないところが一般的です。
依頼する前に、キャンセル時の送料を誰が負担するのかは確認しておいてください。
出張買取と持ち込みはどちらがいいですか?
量が多い場合や、壺のように運ぶのが大変なものは出張が向いています。
掛け軸1本のように持ち運べるものなら、持ち込みでも構いません。
出張の場合は、その場で決めずに考えると伝えて構いません。
価値がないと言われたものはどうすれば?
別の専門店にも見てもらってください。
業者によって得意な分野が違うので、評価が変わることがあります。
それでも値段がつかないなら、家族に残すか処分するかを考える段階です。
鑑定と買取は違うのですか?
違います。
鑑定は、その品が本物かどうかを判断して証明することです。
買取の査定は、いくらで引き取れるかを決めることです。
売るつもりがあるなら、買取業者の査定から始めて構いません。
まとめ
骨董品を手放すときに、押さえておきたい点をまとめます。
- 箱と紙は捨てない。査定のときまで残しておく
- 共箱があると査定額が何倍も変わることがある
- 自分で洗ったり磨いたりしない
- リサイクルショップではなく骨董の専門店へ
- ばらばらにせず、まとめて見てもらう
- 訪問購入は8日以内ならクーリングオフできる
- 売る前に家族へ写真を共有する
実家の片付けをしていると、判断のつかないものが次々に出てきます。
私も、床の間にあった掛け軸をどうすべきか分からず、そのままにしています。
ただ、箱だけは捨てないようにしました。
価値があるかどうかは、あとから調べられます。
捨ててしまうと、調べることすらできなくなります。
まずは、箱と紙をひとまとめにしておくところから始めてみてください。
実家の片付け全体の進め方は、実家じまいの費用と手順にまとめています。

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